なんでもないひとりごと。

ネガティヴ思考なADHDの、自分を見つめ直す為のブログです。

『グレーゾーンの歩き方』感想

 どうも、のなめです。なにを思い立ったか、発達障害・グレーゾーン系の書籍を4冊ほど買いました。実は発達障害系の本をそんなに読んだこともないのですが……。気になった物を適当にピックアップしてみました。その中で、さっき読み終わったばかりのこちらの感想を書いていこうかなと思います。

 

www.amazon.co.jp

 

 今回読んだ本は、成沢真介著『グレーゾーンの歩き方 発達障がい・グレーゾーンの世界を理解する本』です。発売されたのが10月11日と1ヶ月も経っておらず、レビューの数も少なく、正直購入するか悩んだ一冊でしたが、特性や困りごとをエリア区分して、その項目毎に「どうしてそうなっているのか」を客観的目線で詳細に書いてある、というような構成が面白そうだったので購入に踏み切りました。あと、カバーに描かれているイラストやその『エリア』の呼称が面白かったので。

 

 以下、感想です。

 結論から書くと、読んでいて面白かった。自分が持っている特性や機能障害と照らし合わせて考えてみたり、エピソードを読んで共感したり、読み物として面白かったり。後半の「旅のガイド」では社会で生きることの難しさ、「自分」や「環境」を変えることの難しさを感じつつ、書かれていた解決策の中に、自分が出来ることはないか探してみたり。発達障害でなくても、心理系の読み物としても面白いんじゃないかな、という個人的感想。

 前半部分(というかメイン)では、項目毎に例文を使って『こういう特性・困りごとがあります』ということを明記した後に『どうして困っているのかの理由(機能障害)』を詳細に挙げて、さらに『こういう理由がある人はこの項目にも関連しているかも』という参照付けもされていました。最初の目次に機能障害一覧のようなものがカテゴリごとに分けられていて、自分が特に気になる部分をピックアップして読むことも可能です。それだけに、文中の参照部分に参照ページを書いてくれなかったのは少しもったいなかったかなと思います。

 当事者を『旅人』と称して、現在のその人の困りごとや、子供の頃にこういうエピソードがあった、という例示を話し言葉で書いてあるのも、結構読み応えがあって面白い。中には「わかるな~」というものもあったり、自分とは違う特性に面白さを感じたりした。

 構成的には、その項目について、あるなしチェックリスト→エピソード紹介→そのエピソードの理由づけ→機能障害について→機能障害の細かいリスト(こういう機能障害があるとこういう困りごとがあったりするよね、みたいな感じ。ここに関連する他の機能障害一覧も載っている)というのが、10項目に分けて掲載されている。私はページを飛ばさずに頭から最後まで読み通しましたが、好きなところから読める構成でもあるかなとは思いました(さすがに章毎に読んだ方が良いとは思うけれど)。

 章ごとのタイトルも面白くて、個人的に共感しつつ気に入ったのは2章の『好きなことだけカーニバル』。好きなことだけやっていたい。それ以外は全部どこかに放り投げて、好きなことに没頭していたい。そんな感じの項目です。不注意優勢的にはあるあるしかなかったので、逆に面白かったです。

 一方で共感できなかった章もありました。6章と10章です。6章は自分の思い通りに人を動かしたいとか、そうならないとすぐ怒ってしまうとか。承認欲求とか自己愛とか自尊感情の章なのかな、という印象。私は別に他人が自分と違っててもどうでもいいし、人を上下でしかみたりとかはない(はず)なのでやや読み飛ばしましたが、戒めとして自分の中に印象づけておこうとは思いました。10章では婚活や恋愛の章でした。エピソードが面白くて、ASD傾向の男性とADHD(多動優勢)傾向の女性のやり取りがそれぞれの視点で描かれてましたけど、絶対上手くいかないんだろうな~みたいな雰囲気をヒシヒシと感じました。私は恋愛も結婚も興味がないので、もし今後そういう願望が芽生えたときに参考にしよう、程度ですかね。

 章ごとのチェックや機能障害ごとのチェックも、どちらかと言えば結構当てはまったかな……。6章、8章(こだわりの強さについての章)、10章は当てはまったものは少なかったのですが、それ以外の章は満遍なく「ある」なと思った項目が多かった印象です。

 他の章で印象に残ったのは、9章『ネガティヴ砂漠』の旅人エピソードです。仕事で落ち込んでいる主人公が職場で唯一親しい(と思っている)同僚と一緒に飲みに行った際に、同僚に「何か話して」と言われたので飼っているオオサンショウオについて話そうとした場面です。

「何か話して」

「オオサンショウオを飼ってるんだ」

「急に何話すの?」

 ……そんなことある? 何か話してっていったのそっちじゃない? と衝撃を受けました。しかも詳細にオオサンショウオについて話したらキモがられてしまうという……。それが引き鉄となったのか、主人公はうつ状態になってしまいオオサンショウオの世話も出来なくなり死なせてしまうという……。(恐らく)フィクションとはいえ、そんなのってないよ! と言いたくなってしまいました。

 一方で、自分も動物を飼いたいという気持ちをずっと持ち続けていて、でももしものことがあって死なせてしまったりしたら嫌だな……と思い、金銭的なこともあり飼うまでに踏み切れずにいます。その気持ちを思い出させてくれました。

 

 後半(といっても結構少ないページ)では、「旅のガイド」といって、前半に書かれたような機能障害などをどう乗り越えていくか、という解決策などが書かれていました。具体的な解決案もありましたが、一部は当事者的に「無理だろうな……」みたいな部分もあり。特に睡眠・スマホ・衝動性の部分はかなり理性を保たないと難しいな……と思いました。時間を決めて、アラームなどをかけて止める時間を決める、といった解決策があったのですが、実践したことがある身からすれば「相当頑張らないと継続しないしすぐスルーしてしまう」からなあ……という感想でした。私はそういう所がかなり酷いので、物理的にスマホを封印したりしない限りは延々と触ってしまいます。参考になる部分もありますが「旅のガイド」は私的にはオマケ要素が強かったです。そういうライフハックを知りたければ、恐らく他の書籍等のほうが詳しいと思うので。この本はどちらかと言えば『発達障害の特性・機能障害』に焦点を当てているので、それを面白く知りたい! という人向けだと思います。まあ、「旅のガイド」には著名な心理学者などの名言が引用されているので、それを読むだけでも面白いかもしれないです。

 

 ざっくり書いてきましたが、個人的には良書寄りだな~と思いました。自分の特性や機能障害について知りたい人には良いかもしれません。それを知れるだけで解決法も探しやすくなるし。また、より良く生きるための方法である「旅のガイド」もあるので、これ一冊で大体まかなわれるんじゃないだろうか。他の発達障害系の本をあまり読んだことがないので、これが界隈的にどれほど良い本なのかはわからないですが。

 私は多分また読み返すと思います。そういう本に出会えたら良いよね。他の本も読んだら随時感想を書いていこうと思います。次がいつになるかはわからないけれど。